初詣は参拝か観光か

神奈川県入込観光客調査(→[神奈川県入込観光客調査])の入込観光客数(一部)は下図の通りです。

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神奈川県観光客数H30


川崎大師、鶴岡八幡宮寒川神社といった初詣客が多い市町は1月の入込観光客数が突出して多いのが特徴です。
この数値に初詣客が含まれているのでこうなります。

初詣に寺社を訪れる人たちは参拝者か観光客か。

初詣は宗教行事のような印象がありますが、実は観光だったのですね。
「『初詣は新しい参詣スタイル!?――鉄道が生んだ伝統行事』平山昇」(

https://synodos.jp/society/15857)によれば、

「ハレの乗り物(鉄道)と郊外散策をあわせて満喫できるという、川崎大師の(当時では)他に類をみない独特な行楽的魅力にひきつけられて、多くの人々が初縁日や恵方といった旧来のルールにこだわらずに正月休みに参詣する形が広がっていった。そして、この新しいスタイルが「初詣」と称されるようになった
(途中略)
初詣は明治期に庶民の娯楽行事として誕生した

ということで、初詣客を入込観光客数に含めるのは妥当だったのですね。

 

[参考]

コトバンク(https://kotobank.jp)の「日本大百科全書(ニッポニカ)の解説」によると、「初詣で(はつもうで)」は次のように説明されています。

新年最初に神仏に参詣(さんけい)すること。大晦日(おおみそか)の晩から元日にかけては、村の氏神にこもって起き明かすものであったが、前半は除夜の鐘を聞き、後半は初詣でと、二つを別々の行事に分けたのであろう。恵方(えほう)参りともいって、その年の明きの方(恵方)にある社寺に参詣する例も多く、そこで初日の出を拝む人もある。初詣での済むまでは、途中で人に会ってもことばを交わすものでないといった。現代は社寺や電鉄会社の宣伝も盛んで、有名な社寺に人が集中する傾向がある。社寺では護符(ごふ)、破魔矢(はまや)、だるまなどを準備している。別に、生児の30日目前後の初宮参りのことを初詣でとよぶこともある。[井之口章次]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)